2024年04月13日

「リア王」(ショーン・ホームズ演出、段田安則主演)

 刈谷市総合文化センターで観劇してきました。先日原作を読んだのは、このための予習だったわけです。本格的な演劇を見るのは初めてです。

 幕が上がって、舞台上に何の飾りもなく、役者さんが椅子に座った状態で劇が始まったので、まず驚きました。本作の最初は王の屋敷での場面ですから、それっぽいセットが組んであるだろうと思っていたのです。真っ白な背景は、紙であることがあとでわかります。舞台上に置かれたオーバーヘッドプロジェクターで、王国の地図や、何度か重要な場面で登場する「手紙」が映し出されるスクリーンにもなります。また、劇の進行の中で、俳優さんがそこにマジックで書き込みをする演出もあります。これらは、「斬新な演出」ということになるのでしょうか? 出演者の方々は「今までに見たことのない『リア王』を見てください」とおっしゃっているそうですが、私はそもそも「リア王」の舞台を見るのが初めてなので、どこが新しいのかはよくわかりません。ただ、「こんな演出のやり方ってアリなんだな」と、たいへん興味深く見ました。

 予習していたので、ある程度劇の進行は理解できましたが、長いセリフは追い切れないことが多かったです。セリフが長く複雑で、しかも俳優さんが早口で話されるためです。あと、グロスター伯の庶子であるエドマンド(玉置玲央さん)は重要な役柄ですが、場面ごとに演じる立場が細かく変わるため、「えーと、今話してる相手は誰だっけ? どういう立場で話してるんだっけ??」とこちらが戸惑っているうちに、話が先に進んでしまうこともよくありました。ちょっと予習が不足してたかなあ。最後の方でエドマンドをゴネリルとリーガンが取り合いますけど、原作を読んだ時も、なんでそうなるのかイマイチよくわからなかった。「あんなしょうもないヤツやめとけや……」と言いたくなりません? ちゃんと読んだらその必然性が理解できるのかなあ。

 主演の段田安則さんは、さすがの迫力でした。ゴネリルの江口のりこさん、リーガンの田畑智子さんも、腹黒な2人の娘を見事に演じておられました。ポスターなどでいかにも悪いやつっぽく写っていて、ちょっと気の毒な感じもしたんですが、まあこれだけ実績のあるお二人だからこちらが心配するのは野暮というものでしょう。そこへ行くと、コーディリアの上白石萌歌さんは「おいしいとこ」を持って行ってる感じですね。終演後もお客さんの間で「萌歌ちゃん可愛かった〜」と声が上がってましたけど、まあそういう役柄ってことですよねえ。あと、ケント伯の高橋克実さん、道化の平田敦子さんは、ずっとリア王に忠義を尽くす役として、印象に残ったし、存在感も大きかったです。

タグ:演劇
Posted at 2024年04月13日 23:10:12

2024年04月07日

木たち・野菜たち

 この1週間ぐらいの動きです。ナツミカンの花芽が出てきました。あまり数は多くありません。一時期50個ぐらい実がついたこともあったので、もう少し増やしたいところなんですが。

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 アブラムシ退治のためのニームスプレーをまき始めました。今年は黒いアブラムシが多いのです。(この先、虫の写真が3枚続きます。苦手な方は飛ばしてください)

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 ナツミカンの根元にカラスノエンドウが茂っているのですが、ここに同じアブラムシがたくさんついています。よく見ると2種類います。緑色の少し大きめのはソラマメヒゲナガアブラムシ、黒くて小さいのはマメアブラムシのようです。ソラマメヒゲナガアブラムシの方はナツミカンにはあまりついていませんが、マメアブラムシはナツミカンにもつくようです(出典:「マメアブラムシ」、昆虫エクスプローラ)。とりあえず、ナツミカンの根元のカラスノエンドウを抜いておきました。

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 今年は早くもテントウムシが来ています。アブラムシ退治に精を出して欲しい。

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 スナップエンドウはようやく実が大きくなり始めました。この近くにもカラスノエンドウはあるのですが、スナップエンドウにはあまりアブラムシは来ていません。同じマメ科でも好みがあるのかな。ソラマメ属とエンドウ属は違う?(カラスノエンドウはソラマメ属です)

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 同じ畝に、ルッコラとスイスチャードのタネを交互に蒔いてみました。ルッコラの種、袋に "HARB" って書いてあるのがとても気になる。"HERB" だよね……

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 黄色の丸のところにルッコラ,水色の丸のところにスイスチャードです。ちょっと間隔がアバウトすぎたな。

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 チャイブのタネはポットに蒔きました。黒ゴマみたいなタネです。嫌光性なので、少し深めに蒔きます。

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 ミニトマトの苗は、屋外管理に移行しました。夜に気温が10℃を下回ることはもうないでしょう。固形肥料のペレットを6粒ずつあげています。

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タグ:園芸
Posted at 2024年04月07日 17:39:34

2024年04月06日

映画「オッペンハイマー」

 話題の映画です。見てきました。

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出典:eiga.com、「ポスター画像」 https://eiga.com/movie/99887/photo/, (C)Universal Pictures. All Rights Reserved.

 3時間の長丁場ですが、集中して見られました。ちょっと音響が個人的にはきつ過ぎましたが、自宅のビデオや配信じゃなくて、映画館で見るのがふさわしい作品でしたね。

 「原子爆弾の父」と呼ばれるオッペンハイマーを描いた映画ということで、どうしても「核兵器に賛成か反対か」という政治的問題と関連づけて語られがちだと思うのですが、この映画はそこを目指してはいませんね。映画のタイトルが示すように、オッペンハイマーという個人に焦点をしぼって、その内面の変遷や葛藤を描いた作品だと思います。

 実験が不得手で、理論物理に光明を見出し、ドイツのゲッチンゲン大学に移ってマックス・ボルンと分子の構造に関する研究を行います(大学レベルの理論化学で誰もが知るボルン・オッペンハイマー近似)。アメリカで職を得たときに、いろいろな人に「分子についてのあなたの仕事は素晴らしい」と挨拶がわりに言われていたのはこれを踏まえたものですね。「実験が不得手」だったのは史実なのでしょうか。ウォルフガング・パウリのエピソードを少し混ぜてあるようにも見えました。

 オッペンハイマーがアインシュタインと会話を交わすシーンが数回あります。テラーの計算結果をアインシュタインに見せるシーンは史実ではないようですが(出典:「クリストファー・ノーランの発言から読み解く、映画『オッペンハイマー』に内包された「核分裂」と「核融合」の真意」立田敦子、Wired.jp, 2024/4/5)、アインシュタインがプリンストンでクルト・ゲーデルと親しくしていたのは史実のようです。ゲーデルが相対性理論の分野でも業績を残しているのは知らなかったので、これは新しい発見でした。

 共産主義やアメリカ共産党への接近のくだりは、予備知識不足であまりついていけませんでした。後半の主要テーマである公職追放事件も含めて、ある程度背景を知らないと、鑑賞中に十分理解することは難しいと思います。前半の原子核物理学の内容も含めて、鑑賞者の教養を試されるようなところはあります。

 日本公開前に、広島・長崎での原子爆弾投下による被害について直接的に描写されていない、という批判があったようです。最初にも書きましたが、この映画はそこを目指しているわけではないな、と理解しました。ただ、オッペンハイマー自身が葛藤して罪の意識を持つ場面が何度も登場します。オッペンハイマーの視点で見るならば、確かにこうなるだろう、と思います。そこはこの映画の弱点とは言えないでしょう。

タグ:映画
Posted at 2024年04月06日 16:57:53
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